世屋を知り世屋に関わる
プロジェクト

狩猟をナリワウ

要点
①狩猟をこの村で生きる一つの手段にしたい
②解体施設を作り、2017年冬から獣肉販売します
③狩猟はとても豊かな行為です
④世屋に移住しませんか。一緒にやりましょう!
⑤まあ、とにかく食べて。ほんとにうまいんです

興味を持たれた方は、長文ですが以下も読んでいただけると嬉しいです。
                 text:hideki koyama(百姓、猟師)

土・山・水・風と繋がり、村人たちが続けてきた暮らしを受け継ぎ、ここで生きたいー。

世屋での暮らしには、他に代え難い喜びや、豊かさがあります。
小さな田んぼでの共同作業、豪雪だからこその助け合い、手間を掛けたモノづくり…。一見、非効率に思えるかもしれませんが、実際に暮らしていると、不便さは、よりよく生きるための知恵だなぁ、と思うことがちょくちょくあります。

でも、経済や効率が優先される現代社会において、ここで生きていくのは簡単なことではありません。小さな棚田に大きな機械は入りません。稲木干しのお米は本当にうまいのですが、とても時間と労力がかかります。どうしても、平地ほど規模を大きくすることはできません。2m近い積雪でハウス栽培もできません。冬の営農は無理です。獣害も大きな問題です。何よりも人が少ないことが深刻です。村という共同体を維持するのが限界になっています。自分たちが今後もここで今のように楽しく暮らし続けていけるかという切実な問題です。

さあ、どうしよう。

たまたま、僕は移住前の2012年から、京都の北山を猟場にする下鴨猟友会に入れてもらい狩猟をしていました。山で自力で肉を捕ってくるというシンプルさ、山を知り獲物と駆け引きする猟師たちのかっこよさが魅力でした。猟師は、獣を獲るために獣になります。「こんな雪あったら、あいつらもしんどいんや。上には逃げへん」「冷え込んで寒いやろう。あいつら日当たりのええとこで寝とるわ」。理屈ではなく、獣と人の境界が薄らいでいくようでした。獣に対する尊敬と言えば大げさですが、そんな気持ちも芽生え、ますます、狩猟の魅力にはまってしまいました。

最初に自分一人で獲物を獲ったときのことは鮮明に覚えています。当時は、ばねとワイヤーを使ったくくり罠だけで狩猟していました。会社から帰り、ヘッドライトをつけて仕掛けた山を見回っていました。斜面を上る途中でごそっ、ごそっと音がします。心臓がバクバク鳴り始めました。かかってる。

見回りは毎日行いますが、かかっていないと悔しさとともに、どこか安心する自分もいました。殺さなくてすむという思いです。

仕掛けた場所には、シカが掛かっていました。足が折れていましたが、必死で逃げようとしています。とうとう来た。頭の中で何度もシミュレーションしてきたことです。もし、逃がしてやったとしても、もうこいつは死んでしまう。やるしかない。覚悟を決めます。まず、罠の作り方や掛け方まで一から教えてくれた師匠に山から電話で報告しました。「掛かってました」「そうかー。よかったなぁー。よかったなぁー」とめちゃくちゃ喜んでくれました。それで初めて自分でも「獲ったんや」と嬉しくなってきました。

止め刺しは、ナイフで行います。シカは木に絡んで身動きできなくなっているので、頭を押さえつけ、頸動脈を切って血抜きします。自分の足が震えていることに気づきます。夜の山で一対一です。あの時のシカの目は忘れないと思います。

血抜き中、ゴボゴボッと血管から血が抜ける音がします。もがいていたシカも次第に動かなくなってきました。「もう引き返せない。こいつは死ぬ」ということを痛感します。「うまい肉にしてやるからな、うまい肉にしてやるからな」と唱えていました。その後、近くの川まで引きずって内臓を出し冷却しました。その日は、ひとまず心臓だけ持ち帰り、食べました。「山で肉、獲ってこれるようになったぞ」と、とても大人になったような誇らしい気持ちでした。

その後も、狩猟を続けるうちに、様々な先輩猟師や同世代の仲間と出会い、次第に狩猟を生計を立てる一つの手段にできないかという思いが芽生え、強まっていきました。

世屋は獣害が深刻ですが、猟師という立場に身を置くと天国みたいな場所でもあります。保健所の許可を受けた施設で獲物を解体すれば、肉として販売することが可能です。これからの移住候補者にとっても、猟師という職業は一つの選択肢になるのではないか、と考えるようになりました。

ただ、狩猟文化になじみのある村ではありません。村の人たちに理解してもらうことも大切なことです。自治会に何度もお世話になり、村人に集まってもらう中で、応援してもらえるようになりました。また、保健所など行政機関とのやり取りは、「野生復帰計画」という会社に関わってもらいスムーズに進めてもらっています。基本的な解体技術、加工、商品化のノウハウは、猟師集団であり獣肉販売の先駆者である「田歌舎」で研修を受け、出し惜しみない技術指導を受けました。個人的な狩猟技術や解体技術は、まだまだな部分はありますが、獣の肉質の観点では非常に恵まれた環境です。また、丹後には世代も近い、こだわり料理人たちも多くおり、学ばせてもらいつつ、2017年冬から獣肉販売につなげていきたいと思っています。

狩猟をすると山を歩く機会が圧倒的に増えます。獣以外にも、ナメコがあがる木、ワサビの群生する沢、ゼンマイやウドの生える場所を見つけるようになります。また、田んぼの水源地などに行きついて、こんなところから流れてきてるのかと驚くこともあります。世屋の風景に深みが出るような気がして、よりこの土地に自分がなじめる感覚は、とても心地よいものです。ほぼ、自分が獲った肉だけで家族の食を賄えるのも嬉しいです。


世屋の山の恵みを自分で獲り、生きる糧にする。新たなチャレンジで、暗中模索の段階です。しかし、ここで、人が暮らし続けられる一つの武器になり得るのではないか、とも思っています。一人では継続が難しいプロジェクトでもあります。ともに世屋で暮らし狩猟をする仲間を大募集していますし、肉を食べてもらうことで、世屋を後方支援していただける方も募集しています。

いろいろ書き連ねましたが、野生の肉って本当にうまいんです。まずは一度食べてみてください。そこから何かが始まるかもしれません。

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